志賀直哉の代表作の一つに、「清兵衛と瓢箪」という短編がある。
以下あらすじ。
清兵衛は十二歳の少年。瓢箪が好きで、毎日瓢箪のことばかり考え、磨いたりながめたりしている。しかし父はよく思っていない。清兵衛は古瓢に興味はなく、平凡なものばかり集める。父は「もちっと奇抜なんを買わんかいな」と言い、さらに馬琴の瓢箪をほめる。それに対し清兵衛は「あの瓢はわしにはおもろうなかった」というと父は怒る。
ある日、学校に持ち込んだ瓢箪が教員に見つかってしまい、「到底将来見込のある人間ではない」と怒られる。瓢箪を取り上げられ、その後家まで注意しに来る。父は怒り、すべての瓢箪を割ってしまった。
さて、取り上げられた瓢箪は教員から小使いの手に渡り、小使いは骨董屋に持ち込む。すると骨董屋はなんと五円の値をつけた。結局五十円で売れた。
清兵衛は今、絵をかくことに熱中している。しかし父はそろそろ清兵衛が絵をかくことに小言を言い出してきた。
「天才とは何か」「大人(権威主義)の子ども(独創性)への無理解」「芸術家と俗人」。そんなことを考えさせられる作品である。短編なのでとても読みやすい。
先日、広島県尾道市にある志賀直哉の旧居を訪れた。この「清兵衛と瓢箪」に出てくる「清兵衛のいる町」はこの尾道である。「清兵衛と瓢箪」は尾道での生活体験をもとに書かれた作品なのだという。旧居はこじんまりとしていた。志賀直哉は当時の学習院に行くほど生まれがいいことを考えるとこのことは興味深い。
尾道市について調べたところ、尾道は林芙美子の『放浪記』や小津安二郎監督の『東京物語』、尾道出身の映画監督大林宣彦の作品(『時をかける少女』など)の舞台などになっているらしい。